FP2級の独学と難易度 合格者とCFPが教える勉強法と勉強時間

FP2級の難易度は高く、独学で合格するには勉強法とまとまった勉強時間が必要です。

難易度が高いFP2級ですが、出題される問題の傾向がある程度決まっているので、ポイントを絞った勉強をすることが合格への鍵となります。

FP2級の試験について、独学で合格した合格者の勉強法と、北田雅人様(IFA)による独学のポイントを紹介します。

目次

合格率から見るFP2級の難易度

日本FP協会ときんざいのFP2級合格率は以下になります。

FP2級の合格率(日本FP協会)

試験年月学科試験実技試験
2023年5月49.20%62.11%
2023年1月41.51%56.33%
2021年9月50.56%60.26%

FP2級の合格率(きんざい

試験年月学科試験実技<個人>実技<中小>実技<生保>実技<損保>
2023年5月21.11%31.44%34.32%
2023年1月19.50%36.69%57.84%50.94%
2021年9月25.46%42.48%59.75%33.92%68.49%

合格率から見ると日本FP協会の方が高いです。

※どちらも学科試験の問題は共通で実技が違うので単純に数字だけで比較はできません。

FP2級の合格に必要な点数は6割以上で、合格率も低く難易度が高いと言えます。

FP2級は範囲がとても広く、特に学科対策が難しいので勉強時間の確保は絶対になります。

ここで資格の確認ですが、日本FP協会で合格するとAFP、きんざいで合格すると2級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格が取得できます。この2つの資格をまとめてFP2級と呼んでいます。

FP2級の合格点(出題範囲)から難易度を考える

次にFP2級の合格点から難易度を見ていきましょう。

  • 学科試験:36点以上/60点満点中
  • 実技試験(日本FP協会):60点以上/100点満点
  • 実技試験(きんざい):30点以上/50点満点

FP2級に合格するためには6割以上のスコアが必要となります。

今までの傾向をみると、日本FP協会、きんざいともに合否のカギを握っているのは、やはり学科試験です。

簡単ではありませんが6割をクリアすれば合格できます

それほど、難しく考える必要はありません。

対策不足だと難易度が高くなる

受験生の口コミなどを聞くと、FP2級の難易度が高いと感じている人の多くは試験対策が不足していました。

特に学科試験の対策が不十分なケースが多く、勉強時間の確保ができていない傾向にあります。

FP2級の受験を検討したら、すぐに勉強を開始することが合格への近道になります。

独学で合格することは可能

FP2級は独学で合格できる試験です。

もちろん簡単ではありませんが、難易度の高い資格に比べると対策がしやすいので勉強時間さえ確保できれば独学合格も不可能ではありません。

FP2級に必要な勉強時間

一般的にFP2級に必要な勉強時間は150~300時間といわれていますが、それは一つの目安でしかありません。

効率的な学習を心がければ、もっと短い時間で手が届く資格です。

個人差はありますが、独学でも5ヶ月以内の合格を目指しましょう。

1日1時間の学習を5ヶ月続ければ、やり方次第で十分合格できます。

FP3級に合格しているケース

もしFP3級に合格しているなら、なるべく早いうちにFP2級を受験することをおすすめします。

FP3級はFP2級にも関係する知識が多いため、忘れないうちにFP2級を受験したほうが効率よく勉強できます。

ただしFP2級は難易度が高いので、最初は良くわからなくても諦めないでください。

少しずつ知識を積み重ねていけば、徐々にFP2級の内容を理解できるようになります。

FP2級の独学におすすめの参考書と問題集

FP2級の参考書選びは、独学での合格の大きな鍵となります。

範囲が広いFP2級の内容を、効率よく要点を絞った勉強ができる参考書を選ぶことが重要です。

法改正などもあるので、独学の場合は最新の参考書と問題集で勉強しましょう。

良い参考書は解説も丁寧で、FP2級に必要な要点を効率よく独学で勉強することができます。

きんざいの参考書がおすすめ

効率的に学科対策ができる参考書として、きんざい出版のテキストがおすすめです。

きんざいはFP試験も作成しているので、効率的に要点を勉強することができます。

この参考書は、FP2級の試験傾向を分析して、効率よく最短で合格するための構成になっています。

良く出題される項目を効率よく勉強できるので、勉強時間を有効に使うことができます。

きんざい出版ということもあり、FP2級を徹底的に分析しているので信頼できます。

FP2級学科におすすめの問題集

参考書にプラスして問題集も解くことで、確実にFP2級に合格できる実力を身につけられます。

このテキストは、実際の試験問題同様の形式とレベルになっているのでお勧めです。

FP2級の実技問題集選びのポイント

実技試験は、日本FP協会ときんざいで試験内容が異なるため、試験によって問題集選びが変わります。

試験問題は日本FP協会の方が多いのですが、きんざいに比べて広く浅い問題が多いので「全く分からなく点数が取れなかった」というリスクを避けることができます。

実技の問題集は自分が受験する科目に合わせて選択するのがおすすめです。

参考書と問題集は1冊を丁寧に勉強しましょう。

あまり多くの参考書に手を出すと、時間が足りなくなりますし量が多くモチベーションが下がるからです。

FP2級の独学勉強法

FP2級の独学は、学科対策を行ってから実技対策を行うのが一般的です。

難易度や合格率からもわかる通り、学科の攻略がFP2級の合格に繋がるからです。

学科を合格しておけば、もし実技で失敗しても次の学科はパスできるメリットがあります。

逆に学科が失敗しても実技が合格ならば、申請する事で次の実技はパスできます。

FP2級 学科試験の独学は8割の理解を目標にしましょう

FP2級の学科対策としては、まずは基礎知識を身につけることが重要になります。

まずは参考書でFP2級の概要を8割ほど理解するように勉強しましょう。

目標8割の理由は、完璧主義に拘ると問題集の時間がなくなるからです。

一つ一つの用語や考え方を、しっかりと覚えることに焦点を置いて読破して下さい。

3回ほど読むと、理解できなかった用語や考え方も徐々にわかるようになります。

理解できなかった内容は何度も復習しましょう。このステップはとても辛いですが、後々あなたの力になるので手を抜いてはいけません。

実践チェックもあるので、必ず解いて間違えた問題は復習して下さい。

ここで問題が解けないと、問題演習でかなり苦戦することになるからです。

正直なところ、読む回数には個人差があるので、3回読んでも理解できなかったら5回、10回と増やしましょう。

人間の脳は何度も復習することで、着実に覚えることができるようになるからです。

問題集は7割以上の正解率を目指しましょう

参考書を理解できるようになったら、問題集を徹底的に繰り返して7割以上の正解率を目指します。

FP2級の合格目安が6割なので、7割あれば安全圏になるからです。

学科対策の問題演習で重要なことは、間違えた問題をそのまましないことになります。

参考書や問題集は頻出問題がよく研究されているので、本番でも同じ問題が出る可能性が高いです。

何度も繰り返し勉強することで、独学でもFP2級の学科を攻略することができます。

FP2級の実技試験対策

実技試験を難しいと感じる受験生の多くは、問題が長文であることが原因しています。

また、顧客との相談内容や前提条件が、文中に入っているので難しく感じるだけです。

じっくりと問題を読めば、内容自体は学科試験と何ら変わりません。

実技試験の対策も学科試験と同じで、繰り返し問題を解くことです。

問題の形式に慣れてくれば、正解できる問題がほとんどです。

苦手意識を克服するためにも、問題集や過去問に積極的に取り組んでください。

FP2級の過去問で追い込み

過去問は問題傾向の分析になるため独学では必須になります。

日本FP協会のホームページからダウンロードできます。

試験問題だけではなく、模範解答もあるので参考になります。

過去問を開始するタイミングは、問題集で7割以上正解できるようになってから開始しましょう。

問題集が終わっていない状態だと、対策が中途半端になってしまうからです。

また過去問の注意点としては、法改正があった問題をそのまま覚えないことです。

法改正後の内容は、FP2級の試験に出題されやすい傾向があります。

参考書などにも、法改正があった場合の要点が書かれているので注意して読みましょう。

独学でも大丈夫?~CFPが教えるFP2級独学のポイント~

《筆者プロフィール》

北田雅人(IFA)

国内外(みずほ証券、メリルリンチ日本証券他)の証券会社を経て、現在は独立系ファイナンシャル・アドバイザーとして活躍中。資産運用セミナーなども担当し、その鋭い切り口は各方面から高い評価を得ている。保有資格は、CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員1級。

今回は、FP2級を目指している皆さんに、独学で合格するためのポイントをご紹介します。

FPは幅広い知識が必要となる資格なので、その特徴の一つに他の資格との相性の良さがあります。

FP資格保有者に社労士、税理士、弁護士など士業(しぎょう)の方が多いのも、そのためです。幅広い分野をどのようにして学習するのかを、順を追って見ていきます。

そもそも、FPの資格には2種類あります

先ずは目指すべき資格の確認です。FPには金融財政事情研究会(通称:きんざい)が主催する「国家資格」と日本FP協会が主催する「民間資格」の2種類があります。

国家資格がファイナンシャル・プランニング技能士(1級・2級・3級)で、民間資格がAFP・CFPです。

どちらの資格でもFPを名乗ることができます。今回、合格を目指しているFP2級とは、2級FP(ファイナンシャル・プランニング)技能士とAFPの両方を指しています。

何れも6分野から出題される

学習するのは、

  1. ライフプランニングと資金計画
  2. リスク管理
  3. 金融資産運用
  4. タックスプランニング
  5. 不動産
  6. 相続・事業承継の6分野

です。

6分野はそれぞれ独立していますが、その繋がりを意識しながら学習することがポイントです。

例えば、タックスプランニングで考えてみます。こちらは税金の学習ですが、年金の受け取り、金融商品や不動産の売買、保険の満期金など、いずれの場面でも税金の知識が求められます。

つまり、学習を進めていくと重複する部分が、かなりあることが分かってきます。

最初は、分からない問題ばかりでも、我慢して解き続けると急に正解率が上がってくるのも、このためです。

年金って本当にもらえるの?【①ライフプランニングと資金計画】

今、キャッシュフロー表の作成が、ちょっとしたブームです。

これは、将来のお金の動き(収支)を一つの表にまとめたものです。ビジネスの現場では、作成費用を請求するFPも多いです。

実は、このキャッシュフロー表の作成が、試験では頻出です。

また、保険や年金の仕組みもこの分野に入るので、自分の給与明細を取り出して、毎月の保険と年金の金額を確認し、キャッシュフロー表を作成すれば、全体像はイメージできると思います。

万が一に備える保険って、どのぐらい必要なの?【②リスク管理】

こちらは、ちょっと楽できる保険の課目です。学習時間が他の課目に比べて、少なくてすむ傾向があります。

出題される問題がパターン化されているので、問題を解いているうちにコツを掴めます。

また、保険業界で働いている方なら、受験の時に、金財(きんざい)の2級FP技能士を選び、実技試験を「生保顧客資産相談業務」にすれば、合格しやすいと思います。

※金財(きんざい)、FPともに学科試験は共通ですが、金財の実技は選択できます。

資産運用の授業は、学校でも始まっています!【③金融資産運用】

この分野は、最もハードルが高いかも知れません。

金融の専門用語や計算問題が多いために、苦手にしている受験生は多いと思います。しかし、「投資の勉強をしたい」、「資産運用の方法を知りたい」と考えてFP資格を目指している方には、必要な知識ばかりです。

ここで学習する”株式の投資指標”などは、運用の現場でも日常的に使われています。

時間がかかっても、問題を数多く解くことが合格への近道です。

税金の仕組みが分かれば、税理士みたいでかっこいい!【④タックスプランニング】

多くのビジネスパーソンが、「もっと税金の勉強をしておけばよかった・・・」と口にされます。

これから学習する皆さんは、先ずは所得税が10種類あることを押さえて下さい。

どのテキストにも計算手順の図解が載っているので、該当する箇所を確認しながら学習します。

実際の「確定申告書B」を見ながら学習すれば、より効果的です。

自宅を3階建てにできるかな?【⑤不動産】

建物の大きさや高さは、建ぺい率容積率と呼ばれる法令で決まります。

また、都市計画法によって、建設できる施設(建物)は地域ごとに決まっています。

該当する法令の名称を確認しておけば、学習もはかどります。

公示地価は、ニュースでも報道されますが、不動産の公的価格は他にも3つあります。

もし親が亡くなったら、誰がいくらもらえるの?【⑥相続・事業承継】

相続や贈与は、ある日突然、身近な場所で発生します。

そんな時、専門家に頼らなくても、この分野の学習で相続税や贈与税は把握できます。まさに、一石二鳥ですよね!

学習の中心になるのは、相続税の仕組みやその計算方法です。

ここでも、ご自身の家族構成を当てはめて考えます。“サザエさん一家”でも大丈夫です。

≪本屋でテキストを読み比べ≫ お勧めは、これだ!

独学を成功させるポイントは、テキスト選びから始まっています。

納得できるテキストと問題集をセットで購入したら、学習の開始です。

売れ筋から選ぶことが大事ですが、空白が多くて分厚くなったテキストや薄すぎるテキストは避けるべきでしょう。

わたしの場合、持ち運びする事も考えて、手にした時の感触や重さも重視しています。

おすすめの2冊をご紹介します。

1冊目は、史上最強のFP2級(AFP)テキストと問題集「ナツメ社」です。

出題カバー率が高いことと構成やカラーの色使いが分かりやすいです。

一般的なFPテキストは毎年5月に改定されますが、こちらは7月です。問題集は厚めですが、出題傾向の独自分析は秀逸です。


2冊目は、FP王道テキストと問題集「日本経済新聞出版」です。

実務経験のある方やお勤め先が金融機関の方であれば、こちらをお勧めします。

コンパクトにまとまっていますが、内容量は豊富です。また、テキストも問題集も非常に扱いやすい大きさです。

FP業務に関係する法改正は、生活に密着していることから出題される可能性が高いです。

学習には必ず最新版のテキストと問題集を使って下さい。

各試験には法令基準日が設けられています。1月・5月試験は前年の10月1日で、9月試験は同年の4月1日です。

資格目的なら「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」、ビジネスまで考えれば「AFP」がお勧めの理由。

どちらで受験するかは、合格してからの資格の使い方で決めるのが良いと思います。

2級FP技能士は一度合格してしまえば、合格証が手元に届き、FPをずっと名乗ることができます。

もう一方のAFPは、2年ごとの更新なので継続研修(単位取得)が必要になります。

その都度お金が発生します。ただし、継続研修で新しい知識を習得できるのでビジネスの現場では役立ちます。

例えば、自己啓発や資格取得を優先するならば2級FP技能士を選び、将来のビジネスまで視野に入れるとAFP、と考えてみては如何でしょう?

試験対策~学科&実技~

2級FPもAFPも学科は共通です。学科の問題は60問ですが、出題される順番が学習する6分野と連動しています。

つまり、ライフプランニングが学科試験の問1〜10、リスク管理が問11〜20といった具合です。

このルールを知っていれば、過去問から苦手な分野だけを選び出して、集中的に学習できます。

実際にこの方法で過去問を解いてみると、同じ問題が繰り返し出題されている事に気付きます。

また、実技試験はFPがクライアントの相談に応える場面を想定して作成されています。

市販の問題集では実技試験の問題量が少ないので、積極的に過去問を活用してください

基本は学科試験と同じですが、過去問を解くことで出題傾向が分かります。

日本FP協会(試験問題・模範解答)

⇒ https://www.jafp.or.jp/exam/mohan/

FP2級は独学でOK

テキストを繰り返し読むことは大切ですが、むしろ問題集に特化した方が効率は上がります。

実際、「問題集だけで資格試験は大丈夫」と豪語する強者もいます。

問題集を解く場合は、問題の書かれたページにメモ書きしてはいけません。

最低でも3回以上は解くからです。5回繰り返せば合格点は超えてきます。

納得できるテキストと問題集が見つかれば、FP2級は独学でも十分合格できる試験だと思います。

FPと相性の良い資格もご紹介

⇒ 社労士(ライフプランニングと資金計画):社労士

⇒ 宅建(不動産):宅建

FP2級独学まとめ

FP2級は難易度が高く、勉強時間も150時間以上は必要ですが、焦らず学習しましょう。

独学でも参考書や問題集を繰り返し勉強することで合格できる実力は身につきます。

満点合格を狙うのではなく、効率よく7割(余裕をもって)を目指して合格点を狙うのがポイントです。

60点でも合格すれば資格は手に入るので、まずは合格を最優先にしましょう。

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